東北ジャーナル2001年6月号
メディカルチェック

大腸の病気


  前回は大腸の解剖と各種検査法を勉強しました。
今回は大腸の病気のお話しです。

● 大腸がん
  一番恐い病気です。
しかし、食道がんや胃がんほど恐くありません。
なぜなら、かなり進行した状況で発見されても、5年生存率(がん治癒率の一つの目安です)が期待できるからです。
実際、わたしの外来でも、手術後にピンピンして通院している方が、かなりいらっしゃいます。

一方、ご自分で「痔だろう」と考えられて放置し、いよいよ血便がひどくなり、本院に受診された時は、すでにがんが肝臓に転移しており、綜合病院に紹介してもわずか1週間でお亡くなりになった患者さんもいました。
やはり、『がんはあなどるなかれ』ですね。
  遺伝的要素も指摘されており、家族内発生もあります。
ご両親やご兄弟に大腸がんの方がいらっしゃる場合は、年2回くらいの大腸検査をなされたほうが良いでしょう。

● 大腸ポリープ
  大腸にできるイボです。
大腸レントゲン検査や大腸ファイバーで見つけることができます。
大腸ファイバーでは、さらに組織の一部を採り(生検・バイオプシー)、良悪性の判断をすることができます。
悪性または悪性に進行する可能性のあるポリープは、ファイバーを使って切除(ポリペクトミー)を行ったり外科手術になります。

● 潰瘍性大腸炎 ● クローン病
  それぞれ独立した疾患ですが、炎症性大腸疾患として同じグループの病気です。
特徴は、長期の下痢、粘液便、粘血便、下腹部痛、体重減少などです。
慢性の疾患ですので長らく病気と付き合う必要があります。
一時治ったと思っても、また症状がでてきたり(再燃・再発)、突然悪くなったり(急性憎悪)、なかなか厄介な病気です。
ストレスや疲労も関与していると考えられていますが、原因不明な病気の一つです。

● 過敏性腸症候群
  忙しい現代人の病気の一つです。
朝、会社や学校に行こうと思うと急にトイレに行きたくなり、下痢になります。
決してなまけや怠惰、さぼりではないのに症状が出てきます。
ストレスが関与しているとも考えられて、
心身症の一つと捉えても良いでしょう。
「電車内で便意を催したら、すぐに降りられるように常にドアのそばに立っている」、「通勤通学途中のトイレの位置は全部把握している」などと、患者さんにとっては切実な問題です。   大腸レントゲン検査は、胃の緊張度を診断できますので、この病気の診断に役立つ時があります。
最近、良い薬が発売されております。
精神的なカウンセリングが有効な場合がありますので、胃腸科、心療内科、神経科の受診をお勧めします。

● 薬剤性腸炎
  珍しい病気ですが、覚えておくとよろしいでしょう。
風邪や腰痛症などで抗生物質や鎮痛・解熱剤を内服したあと、突然下血や下腹部痛が出現する病気です。
薬剤を中止、あるいは変更すればすみやかに症状も軽快し、後遺症を残しません。


  これであなたも大腸の病気のプロフェッショナルです。
ご家族にも教えてあげてください。
次回は肝臓のお話しです。
肝心かなめの、お話しですよ。